
2024年11月下旬、美術展示会『アート&アーク』が、有楽町駅前に位置する東京交通会館のギャラリーで開催されました。約15名のアーテイストの作品(絵画、書、彫刻、陶芸、立体)が展示されました。私(金原博昭)もメンバーの一人として多面体の模型を4点を出品しました。そのうちの2点は最も構造の複雑な多面体『大二重斜方二十・十二面体』とその双対立体であり、それらは各々『X次元の多面体』および『新緑の爆発』という名前で展示されました。ご参考までにそれらの画像を添付します。左の画像が大二重斜方二十・十二面体、右の画像がその双対です。
大二重斜方二十・十二面体は一様多面体の一種です。一様多面体とは、立体を構成する全ての面が正多角形であり、さらに頂点の形状が全て合同な立体のことです。5種類の正多面体、4種類の星形正多面体、13種類の準正多面体、その他の53種類の一様多面体がこの条件を満たします。全部で75種類あることをH.M.S.コクセター等が確認し、後にJ.スキリングがコンピュータを使って証明しました。正角柱、半角柱、ミラーの立体などもこの条件を満たしますが。一様多面体には含めないことが多いようです。この多面体は、これまでに知られている多面体の中で、各々の頂点に6つ以上の面が会する唯一の多面体です。これが、この多面体が他のすべての多面体と異なる点の一つです。事実、この多面体の場合、8つの面が各々の頂点で会しています。これら8つの面は、星形五角形12対、正三角形20対、相対する正方形30対に現れています。頂点の形は、個々の頂点でそれらの面がどんな順序で回転しているのかを示しています。たとえば正方形は他の面と交互に現れます。
幾何学において,半多面体(hemipolyhedron)は、面のいくつかが重心を通る星形一様多面体を意味します。これらの多面体のhemi(半)面は、対称性をもつ他の多面体のいくつかの面に平行に位置し、その面数はそのような他の多面体の面数の半分です。これが接頭辞”hemi(半)”が付く理由です。 半多面体と呼ばれている多面体は全部で9つ存在し、それらは非凸一様多面体です。それらの面のいくつかは立体の対称中心を正確に通ります。数学的に考えると、それらの面に対応する頂点は無限の彼方に遠ざかってしまいます。それゆえ、それらの双対は有限空間に存在しません。元の多面体の面が対称中心に極めて近い場合、その双対の対応する頂点は非常に遠くなるのです。
さて、大二重斜方二十・十二面体は半多面体です。なぜなら2枚重なった正方形60枚がこの立体の対称中心を通っているからです。それゆえ、その双対の対応する頂点は無限遠に存在することになります。簡潔に言うと、大二重斜方二十・十二面体の双対立体は、星形8角形の角柱60個(対称性を考慮に入れると実際には30本)の複合体です。この立体は、星形8角形断面の角柱60本が中心から外側に向かって放射状に伸びている立体です。無限遠に広がる他の星形化多面体のように、爆発が進行中である有様を示しており、すべての星形8角形の面が大二重斜方二十・十二面体の内で最初に占めていた位置から外に向かう旅を始めたときの様子を表しているように思われます。このような理由から、上右画像の立体は『新緑の爆発』と名付けられました。
これらの半多面体とそれらの双対に関する私の論文が、数学専門誌 IJMSI (International Journal of Mathematics and Statistics Invention )に掲載されました。ここ IJMSI をクリックし、さらに論文のタイトル”Hemipolyhedra and their Duals”をクリック、そして”Download Full Article”をクリックすると私の論文が出て来ます。わずか5ページの短い論文ですが、とてもカラフルです。
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