今日は、『地球のための白銀の羅針盤』本文において言及された地球の変動・自然災害に関連して、米国における最新状況をご説明します。この情報は、ゴードン・マイケル・スキャリオン氏から提供されました。
地球温暖化に起因する海面上昇により、海岸線が内陸に向かって少しずつ移動しています。この事実に鑑みて、かつて数多くの海沿い地域が、海岸線を浸食から救う手段を真剣に検討しました。しかし、現在これらの地域は、海からの避難・撤退を計画しています。2012年6月11日付の新聞、”Huffington Post”によると、米国カリフォルニア州沿岸地域は、北から南に至るまで、海岸線の浸食に歯止めをかける試みは無駄な努力である、という確信に至ったそうです。これは、地球温暖化に起因する海面上昇を考慮した上での結論です。カリフォルニアにおける海面は、前世紀の間に20センチ近く上昇しました。そして、2050年までに30~45センチ上昇することが予測されています。
サンフランシスコでは、風光明美な大幹線道路が太平洋から浸食を受けており、その結果、毎年海岸線が少しずつ道路に忍び寄っています。そこで、大幹線道路の一部を内側に移設し、砂丘による舗装区域の埋め立てを放置する、という計画が検討されています。カリフォルニア南部の浜辺の町パシフィカは、絶えず続く浸食に立ち向かってきましたが、内陸部への撤退計画を早々と採択しました。2002年パシフィカ市当局は、海に落ちてしまう可能性のあるいくつかの住宅を買い上げて撤去したのです。
カリフォルニア州サン・ブエナベンチューラ市は、450万ドル(約3億6千万円)の予算で撤退計画を実行に移しています。サーファーに人気のある所を通っていたサイクリング・ロードは、すでに崩壊しつつあったのですが、それを撤去し、内陸部に新たな道路を建設しました。そして、広くなった海辺に玉石が敷かれました。
UCLA(カリフォルニア大学ロスアンゼルス校)、環境非破壊利用可能性研究所で副所長をしているマーク・ゴールド氏は、各地域で為されている努力を称賛すると同時に、大規模かつ広域的な取り組みが必要である、と考えています。
海面上昇が問題になっているのはカリフォルニア州だけではありません。米国における最も極端な例がアラスカに見られます。そこでは村全体が海氷の溶解という問題に直面しており、より高い場所への移転を強いられるか、あるいはそれを検討せざるを得ない状況に置かれているのです。また、ハワイには有名なビーチ(海辺)が沢山ありますが、それらは徐々に縮小しており、一部の科学者たちは、遅かれ早かれハワイ州は、開発を逆に戻すべきかどうかを検討せざるを得なくなるだろう、と考えています。
米国大西洋岸のいくつかの州は、海からの距離を一定に保つことを意味する政策をとっています。これには建築規制区域、建物の壁のセットバック、起伏地の地役権、等が含まれます。起伏地の地役権の場合、開発は許されます。しかし、海岸線が内陸に迫ってきた時、家の所有者は護岸を造らずに内陸部に移転するか、あるいはその不動産を放棄しなければなりません。
上記の情報は、地球の変動が着実に進行していることを示唆しています。
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